みなさんはDVシェルターってどんなところだと思いますか?私はその実態を身をもって知りました。
DVシェルターにお世話になる前、DVシェルターについて調べようと思っても、調べる方法と言えばインターネットしかありませんでした。
ネットで調べてみても場所はわからないし、規則が厳しいとか怖いイメージを持ちました。どんな風に生活するのかなど、いまいち実態がつかめません。
でも、それには理由があります。
DVシェルターの実態がいまいちつかめないのは、秘密にしなければならないことが多いからだと私は思いました。
それに、楽しいお話ではないので、あまり口外したいとも思わないでしょう。ひどいDVに遭っていたわけではない私だって、今でさえ、笑い話にできるようなことなどではありません。
でも、本当にDVに悩んでいる人にDVシェルターについて知ってもらいたく、2歳にならない子供を連れてDVシェルターへ避難することになった、その実体験をありのまま書いていきたいと思います。
DVシェルターの場所
DVシェルターの場所について。それは完全に秘密です。場所は公開されていないし、入所した人にも口外しないよう約束させられます。
私が入所したところでは、とくに何か特別な誓約書とかは書きませんでしたが、「もちろん、親や親戚など、どんなに近しい人であっても言わないでね」と施設の方と口約束しました。
DVシェルターに入所する前は、シェルターは市に1ヶ所はあるものだと勝手に想像していました。しかも山奥に。でも、以外な場所にたどり着いて驚きました。
DVシェルターの実態とは
DVシェルターの情報を集めようとネットでいろいろと検索しても、DVシェルターの本当の実態が把握できませんよね。規則が厳しいなどなど・・・洗脳されるとか怖そうな噂やイメージまであったりします。
実際にDVシェルターにお世話になってわかったことは、洗脳なんてありません。DVシェルターに避難するくらいなのだから、あるとすれば、施設の方から離婚をすすめられる、ということは当然のことなんではないでしょうか?
逆に、DV夫から抜け出せないでいたことが、DV夫に洗脳されてしまっていたな・・・と、今になって自分自身思います。
また、私の記憶にあるDVシェルター内での決まりごとは以下の通りです。
●外部との連絡はとれない(スマホは施設に預ける)
●ご飯は食堂でみんな一緒にとる
●入所者同士お金や物の貸し借りをしない(通帳や現金は施設に預けます)
●入所されている方と情報交換をしてはいけない
●子供がいる人は子供から離れてはならない
通帳は入所するときにDVシェルターの職員に預けますが、通帳の残高を職員の方が確認することはありませんでした。残高がいくらだからどう、みたいなのは一切ありません。
DVシェルターで過ごした私の感想
実際に私と子供がDVシェルターで過ごしたのは2泊3日。「なんて有り難い場所なんだろう」と毎日思っていました。数日間ですが、完全にパートナーと遮断され、味わったことのない解放感、安心感を得ました。
布団も食事も用意され、毎日シャワーも使えました。全てお金はかかりません。安心して、“当たり前の生活”をさせていただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。
DVシェルターに耐えられない人もいる
DVシェルターの施設の方がおっしゃいました。私が施設に到着して、入所前の説明を受けるとき、「やっぱり私、帰りたいです・・・」と、このタイミングでDVシェルターへの入所をやめる人もいるそうです。
スマホや現金を預け、世間と隔離されたシェルター内での生活イメージや雰囲気におされてしまうのかもしれません。
DVシェルターは個室?相部屋?
DVシェルターの実態についてより詳しく書いていきたいと思います。私がお世話になったDVシェルターは、シンプルな旅館のようなイメージです。
私は幼い子供がいたため個室で、これは本当に助かりました。六畳ほどの畳の部屋にトイレとバスが別々で付いていて、エアコンやテレビも完備されていました。個室は3~4部屋ありました。
一人で非難してきた人や、小学生でも高学年の子供さんがいらっしゃるご家族は相部屋で、トイレやお風呂も共同でした。共同の場合は、お風呂は順番で入らないといけません。実際に相部屋だった方は、お風呂にゆっくり入れないし順番待ちなのが困るとおっしゃっていました。
DVシェルター内では情報交換禁止
入所している人同士の情報交換は禁止となっています。私は子供が小さく、大部屋(プレイルーム)で子供を遊ばせるため、子持ちのみなさんと過ごす時間もたくさんありました。そのときに会話したのは、子供のことや今後のことについてよく話しました。
もちろん、名前や住所など、DVシェルター内ではお互いに知ることがないよう配慮されています。
DVシェルター内での名前の呼び方
部屋の入り口には『1号』のように号数がふってあります。それが自分の番号。施設の中では、職員の方から声をかけられるとき、苗字で呼ばれるのではなく「6号さん、今から面談行きましょうか」といった感じで声をかけられます。
子供がいるお母さんだと、「○○ちゃんのお母さん」というように、子供の下の名前だけはオープンにして入所者同士で呼びあったりしました。
情報交換禁止といっても、大部屋(プレルーム)で一緒に過ごす時間もそこそこ長かったので、入所者同士で普通に会話はしました。
余談ですが、それぞれの夫のことについても会話しましたが、無職や職を転々としている夫ばかりだったのが印象的でした。
DVシェルターでの食事って?
私が一番ショックを受けたのが、DVシェルター内での食事のルール。自分の部屋でお菓子やご飯を食べてはいけない決まりでした。食事は食堂でのみ可。
シェルターまで送ってくださった警察の方もそれを知らなかったようで、「シェルターは冷食みたいなのばっかりだと思うので、コンビニでも寄って何か子供さんの食べるものでも買って行きますか?」と。
シェルターまでの道のりにあったコンビで、私はパウチの肉じゃがや子供のお菓子やパンなどを買いだめしました。しかし、施設に着くなり通帳や印鑑、スマホなどと共に没収。
2歳前の子供にとって自由に間食ができないのは辛かったですが、幸運なことに施設の方がとても優しく子供に理解のある方で、実はちょっと融通をきかせていただき助かりました^^
施設で用意してくださるお茶だけは、各自の部屋で飲むことができました。廊下にテーブルがあり、そこに自分の部屋番号が記載されているコップが置かれていて、そのコップにポットの麦茶を入れ、自分の部屋へ持ち込んで飲みました。
食事内容は、栄養バランスが考えられいて、冷凍食品ではなく手作りのものばかりでした。自分ではなかなか作れない多品目のおかずに毎回感動。あたたかくて美味しくて、本当に心にしみました。
食堂にはテーブルが4つありました。私と息子の席は、先に入所されているご家族と毎回一緒のテーブルで、毎回楽しく食事をさせていただきました。
DVシェルターでの服装って?
DVシェルターに入るまで、シェルター内では決められたジャージとか作業着的なユニフォームがあると思っていました。でも、実際はそうじゃありません。
子供のオムツ以外、私は荷物を用意することができなかったので、オムツ以外はすべて施設のものをお借りしました。上の写真の衣類は、実際に施設からいただいたものです。
私の下着やインナー、靴下は新品で、衛生的に使いまわしができないので持ってかえってください、とのことでした。子供の服は古着でしたが、全て持ち帰りがルールのようで、すべていただきました。
私が使用したロンTやパーカー、ズボンは洗濯して返却しましたが、新品のものだったり、パーカーは古着でしたがコムサだったり。衣服は全て寄付で成り立っているそうで、これもまた誰かの善意だと思うと心があつくなりました。
DVシェルターでの子供の遊ぶ場所は?
DVシェルターで一番私が心配していたのが、子供との過ごし方です。DVシェルターに入所すると、ずっと子供と二人っきりで個室に閉じこもっていなければならないのかと不安でいっぱいでした。でも、そんな心配は一切必要ありませんでした。
シェルター内のプレイルームの設備が意外とすごい
シェルター内で一番スゴイ!!と感動したのが、プレイルーム(多目的ルーム)。田舎の児童館よりもすごいかもしれません。上の写真はイメージ画像ですが、本当にこんな雰囲気でした。室内は木をメインで作られたナチュラルな創り、床は体育館のような板張りで20畳くらいはありました。
プレイルームには、プラレールにシルバニアファミリー、ままごとセットにブロック・・・卓球台まで完備。視聴時間に制限はありますが、50インチほどのテレビでDVDをみたり録画してドラマやバラエティ番組もみれました。プレイルームは子供だけでなく、大人も息抜きができる場所。
ただし子供は、決まりにあるように大人と離れてはいけないので、プレイルームを利用する場合も親子一緒でなければなりません。小さいわが子も小学生のお姉ちゃんやお兄ちゃんたちに可愛がってもらい、プレイルームへ行くのを楽しみにしていました。
DVシェルターへの避難を考えているみなさんへ
シェルターへの避難を希望をしたからといって必ずしも利用できるわけではありません。そうも言ってられない方もいらっしゃるのも事実だと思います。私がお世話になったシェルターには、パートナーから暴力を受け骨折、そして入所された方もいました。
もし、DVシェルターについて誤解し避難を迷っている方がいるなら、ちょっと勇気をふりしぼって行動に移してもらいたいと思います。決断してもらいたい。
私が入所したのは県の施設で民間の施設ではなかったこと、入所していた他の人に恵まれていたこと、避難期間が短かったことなど、あまりストレスを感じることなく避難生活を送ることができました。
今現在は毎日大変ですが、新しい生活を手に入れることができ、本来の自分に戻れ、子供と元気いっぱいに過ごしています。明るくて楽しい、自由な生活を送っています。